2006年04月01日

Embedded Board Array

Altium Designer の面付け機能 - Embedded Board Array による CAM への接近

実はこの機能、Protel 2004 のころから実現されていたのですが、最近お客様に指摘されてようやくこの存在に気付きました。これは大変有用なCAM機能なのですが、これまでのものは面付け後のレイアウトから部品座標値の出力をすることができず、いくらか片手落ちの面もありました。

しかし Altium Designer 6 では単面のレイアウトと同じように、部品の座標値データが出力できるようになり、面付けによる組基板の作成に必要な機能がすべてそろいました。

embarray.jpg
画像はAltium Designer overview ページのものを利用させていただいております。

ここまでの説明でピンと来ない人のためにこの用途の説明を続けます。

1. 単純な面付け
基板を製造する時に、小さな基板を 1 枚づつ加工すると能率が悪いので何枚かを寄せ集め、ワークサイズと呼ばれる大きな基板にして一度に加工します。この寄せ集めは面付けと呼ばれる作業で、これをーバーエディタを用いることなくAltium Designer の PCB 機能だけで用いて行うことができます。この用途では面付け後の部品座標データの出力は不必要なため、Protel 2004 の Embedded Board Array 機能でも十分であるといえます。

2. 組み基板のための面付け
ひとつのシステムを構成する、種類の異なる複数の基板を一枚の大きな基板に張り合わせ、一度に実装することにより実装工数を削減することができます。この手法は、大量生産を行う民生機器の分野で多用されます。この組基板では、面付け後の部品座標データを出力することができます。この機能によりAltium Desiner 6 では、PCB 機能だけで組基板を作る事ができるようになりました。

この Embedded Board Array 機能は、単面のPCBレイアウトファイルへのリンクによって面付けを行うため、単面のPCBレイアウトを変更すると面付けされたレイアウトも自動的に更新されます。

この機能は、新機能としてさほど大きく取り上げられていないようですが、想像以上に大きな意味があるように思います。Altium Designer は、設計プロセス上流の設計者に高評価されているツールであることは事実ですが、基板加工/実装効率化のためのEmbedded Board Array 機能により、設計プロセス下流の設計技術者にも使い勝手の良いツールに生まれかわりました。

embarrayset.jpg

日本製のCAD にこだわる設計者の多くは、面付け機能をはじめとする CAM 機能の非力な海外製のCAD を敬遠しがちです。しかし Altium Designer 6 では Embedded Board Array 機能によってCAM 機能の非力さは取り払われつつあります。海外の CAD は CAM がいまひとつという先入観を捨てて、一度この機能を試してみてください。

2006年03月14日

Protel と Altium との橋渡し

このごろつくづく感じるのは、Protel の普及度の高さです。

既存ユーザ様からのお問い合わせが増えていることに加え、新規に導入を検討中の皆様の方々からいただくお話でも以前にProtel を使っておられたり、取引先でProtel をつかっているというような場合がほとんどで、今更ながらこの浸透のすそ野の広がりには驚いてしまいます。

このようにすでに Protel を存知の方がたくさんおられる中で、Altium Designer を日々お勧めしているわけですが、皆様方がお持ちの Protel(プロテル)のイメージとこの新しい Altium Designer(アルティウム)との間に、大きなギャップがあることも事実です。

かつてのProtel はコスト/パフォーマンスが最高の製品でした、しかし今の Altium Designer ではその絶対性能も最高レベルに達しています。また、Protel はツールの統合こそ実現されていましたが、あくまでそれはボードレベルに限定されたものでした。しかし Altium Designer での統合は FPGA のハードウェアとソフトウェアの開発ツールにまで達しています。そして、このような製品の高度化により価格も上昇し、さらにProtel の名前も消えてしまいました。この違いは、日々アルティウム製品にかかわっている私たちですら大きなものですので、この変化を遠目に眺めてこられた方々には両者は全く別物のように映ることでしょう。

このように、アルティウム製品のProtel から Altium Designer への急速な進化に、市場での認知が追いついていないことは否定できず、この両者の整合をとることこそが私たちの最も重要な仕事であるといえます。

アンビルコンサルティングではProtel のブランドが消滅した時に、ホームページのタイトルを「Protel 専門店」から「Protel と Altium Designer との橋渡し」に変更しました。そしていま、この橋渡しの重要性を今更のように実感しています。

Protel はどこに行った?とお探しの方は、迷子になる前にその行方をアンビルコンサルティングにお尋ねください。

2006年03月10日

続ジャンクションの恐怖

過去の記事の続編です。
コメント投稿にて質問をいただきましたので、ジャンクションの恐怖の続編として回答いたします。

最近の Altium Designer の回路図エディタでは、配線のオプティマイズ機能によって、十字接続の部分のドットが消えて交差になってしまいます。下図をご覧ください左が意図した接続であり、右側が Altium Designer で最適化された結果です。

cross99abs.jpg

この現象は、新規作成時だけではなく古い回路図を読み込んだ場合でも起こります。このような意図しない最適化を避ける方法として最も確実な方法は、以下設定画面の Optimize Wire and Buses のチェックボタンをはずすして最適化の機能を解除することです。

sch_pref_g.JPG

また、このオプティマイズ機能を解除せずに十字接続を実現する方法もあります。上図の設定画面の Convert Cross-Junction にチェックを入れると、十字接続部分は交差ではなく2つのT字接続に変換されます。

cross99ads.jpg

そしてこの形状が許せない場合には、以下の設定により従来通りの形状を得ることができます。

conv_j.jpg

このダイアログボックスの Miter Size の初期値は5に設定されていますが、このサイズを小さく設定することにより、2箇所のT字接続の間の距離を縮めることができます。
試しに 0.1 に設定したところ完全に重なって見えました。この数値の単位はおそらく10milですので、0.1に設定すると、実寸は1mil(25.4ミクロン)になるはずです。ただし 0 (ゼロ)の入力はできませんでした。
また私が試した結果によると、この設定により既存のジャンクションが変換されるのではなく、新たに作成するジャンクションにこの設定が適応されました。要するに初期設定値として機能するようです。

2006年03月09日

完Altium Designer 6 体験版

アルティウム社のトライアルCDには、試用期限以外には全く制限がかけられていませんので、製品の能力と業務に対する適合性を製品購入の前に完全にチェックすることができます。

しかし一方、機能があまりにも多いため動作の確認に時間がかかりますので、30日の試用期限内に完了できるように計画的に評価を進めていただく必要があります。また、機能の隅々まで調べるのは大変ですので、重要な機能にポイントを置いて調査し、それ以外のところはカタログやWebサイトから情報を入手して調べるという方法で手間を省くことも必要です。そして、info@anvil.co.jp でトライアルのお手伝いをいたしますので、不明点が出てきたときには気軽にお問い合わせいただくことができます。

すでにご紹介したように、Altium Designer 6のトライアルキットは大変豪華なものであるにもかかわらず、弊社ではこれを気前よく無償でお届けしております。しかし、残念なことに実際にインストールして評価にご利用いただいていないケースがかなりでてきております。そこでより多くの方々にお使いいただけるよう、インストールの手順を簡単におさらいさせていただきたいと思います。

まず、インストールについては他のアプリケーションと何ら異なるところはありませんので、問題はなく片付くはずです。しかしインストールするだけではプログラムを起動することができず、アクティベーションの作業が必要になります。これはアルティウム独自の手続きであり以下の手順でこの作業を進めます。

インストールを終えAltium Designerを起動するとまず以下のような画面が表示されます。

activ1.gif

画面上には、有効なライセンスがなくアクティベーションの作業が必要であることが示されています。
この状態で、Available Licensesというタイトル直下の Activate license usung the web を起動すると、wizardが開始され以下の画面が現れます。

activ2.gif

この画面にCustomer Number と Activation コードを入力します。この2つの情報は、トライアルキットのバインダーを開けた状態の、左下あたりに示されています。
この入力が終わるとYesボタンを押して次に進みます。次にユーザ情報の入力を行いウィザードを完了します。

activ3.gif

この一連の作業が終わると、登録したe-mailアドレスにキーファイルが送られてきます。これをAltium Designer の動作環境にコピーすれば、アクティベーションの作業はおわりです。

もし、うまくいかない場合には web インターフェイスを使わず、他のプラットフォーム上でe-mailだけを使ってアクティベーションの手続きを行うことができます。いずれにせよ、トラブルに見舞われた場合にはサポートいたしますので、info@anvil.co.jp までお問い合わせください。

2006年03月08日

続Altium Designer 6 体験版

Altium Designer 6 のトライアルキットの内容をご紹介します。

写真をご覧頂くと一目瞭然ですが、単なるCDのセットではなく充実した印刷物が含まれています。このため、これをトライアルCDではなくトライアルキットと呼んでいます。

特にカタログには力が入っており、A4フルカラー72ページという超豪華版です。NanoBoard まわりの独立したカタログも用意されており、こちらも24ページあります。印刷物のページ数を合計すると100ページを超えており、この新製品にかけるアルティウムの意気込みを感じます。

一方、インストール CDは製品版と共通の2枚ひと組のもので、薄型のツールケースに収められています。

これらの印刷物とCDが厚紙のバインダーに収められており、重さは約 700g もあります。

このトライアルキットは、アルティウム ジャパンや他のアルティウムの代理店が配布しているものと同じですが、当社ではシドニーのアルティウム本社より直接調達し、常時在庫することにより即納体制をとっております。

この、豪華なトライアルキットを無料で即日発送(可能な限り)いたしますので、お気軽にご請求ください。

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